霊視で現実世界をカウンセリングして解決いたします。
霊能・スピリチュアルだけのアドバイスだけではなく、人が日々生きている現実世界との調和が必要だと思っています。
そのため、法律資格や現実世界の学びも生かした、総合的なカウンセリングとコンサルティングをしています。

あさがお6日目

カーテンを開けっ放しにしてあるので、朝陽で目が覚める。

今日は、パンを買いに行かねばならない。
居間にいくと、誰もいなかった。
机の上に、律儀に食事とコップが置いてあった。
冷たい麦茶を飲みたいところだが、人の家の冷蔵庫を開ける気はしなかった。
裕子ちゃんか、絵奈さんでもいればなぁーと思った。
その時、絵奈さんが玄関から勢いよく入ってきた。
「ご飯食べた?」
「まだです。冷たい麦茶を頂きたいのですが。」
「冷蔵庫から、勝手に飲めば良いのよ」
絵奈さんは当たり前のように言う。
だが、ここは僕の家ではない。
「みんなはどこに行ったんですかね?」と僕は絵奈さんに聞いてた。
絵奈さんは、
「さあ?畑か買い物じゃない?」
と、自分には全く関係ないように答えた。
「なるほど」と、僕は答えるしかなかった。
絵奈さんは一体何なんだろう? 朝はいつもいない。母親も朝はいない。
田舎だから、朝から畑仕事をしているのだろうか?
それとも、絵奈さんからは、いつも微かに海の香りがするから、漁業でもしているのだろうか?
田舎の生活は、僕には全く予測がつかなかった。
僕はスニーカーを履いて、集落に一軒しかない商店に行った。
調味料は、埃を被っていた。
ペットボトル一本とパンを数個を適当に取り、古びたレジスターに向かった。
誰も居なかった。
大きな声で、何度か呼びかけた。
寝起きのライオンのように、ダルそうに、肥った老婆が出て来て
「740円」と言った。
集落の人間にも同じ態度で接客するのだろうか?
僕は、740円を渡す。
そこに会話はない。
集落の外れに小高い山がある。
僕は明日の朝、登ろうと決めていた。
山に登ることは誰にも伝えるべきではないと、 自然と感じていた。
明日も晴天だと、何故か確信があった。
大島家に戻ると、裕子ちゃんがいた。
この家には誰かしらがいて、監視しているようだ。
夜になると、いつもの宴会だった。
僕は、明日に備えて、早く眠ろうと決めていた。
心に強く決めるのと、反比例して、眠りは遠ざかっていった。
部屋から、縁側に出て見る。
縁側で眺めていた植物は、あさがおだった。
僕は、一睡も出来ず、朝を迎えた。