母親は同じ話を何度もする。
昔の話から、今の話まで。
一代叙情詩である。
実家に帰ると、
母親は、話しをしたくてウズウズしているのが解る。
で、
話を聞く。
深夜3時を超えることもある。
朝までというのもある。
(幕が下がらず、アンコールしているわけでもないが、続く)
次の日も同じ話をすることもある。
私は、同じように何度も驚いたり、笑ったりする。
(ここが、ポイント)
弟は毎日、母親と生活している。
そのため、
「その話はきいた」
とぴしゃと母親を遮る。
弟は悪人である!
とんでもない極悪非道な人間である!
(嘘)
やっぱり、毎日、生活していて、
同じ話を聞いていると、
弟もストレスがたまると思う。
(ストレスは、マイレージやポイントのように商品交換出来ない残念なものである)
そこで、
そこで、
真打ち登場!
スーパーヒーローの出番である。
ウルトラマンがやって来る。
もちろん、私意外に誰がいようか。
定期的に実家で、
母親の話を聞いて、
聞いて、
聞いて、
聞いて、
聞きまくるのである!
反応も150%アップで。
母親は、
1 喋る、
2 話す、
3 不満をぶちまける、
4 笑う
と
1から4をリピートする。
そこらのオーディオより、
確実に再生する。
話もブレない。
判を押したかのように、
同じ演目である。
感動すら覚えるのである。
私の相槌やリアクションも、当然、練られていく。
極悪人の弟には、全く出来ないシロモノである。
(嘘)
やはり、
弟のように同居して、
仕事の後に、毎日、話を聞き続けるのは、
大変なことである。
好き勝手に生きて、
フーテンの寅さんよろしく、
いきなり、実家に帰って来る兄である私こそが、
実は極悪人でもある。
同居していたら、
とてもじゃないが、
何度も話を聞いて、驚いたり、笑ったり等出来ないのである。
だから、
兄弟であっても役割分担が必要だと思う。
いや、
兄弟だからこそ、役割分担が必要だと思う。
私が母親に出来ることは、
母親に話を気持ち良くしてもらうことしかないのである。
母親が一番恐れている、ボケるということを防ぎ、チェックすることでしか、応えられない。
そして、
ストレスがMAXに至ると、
フーテンの私は去って行く。
可愛い二人の姫を置いて。
あんちゃんはな、
あんちゃんなんだぞと。
まさに、
一番の極悪人は、
フーテンの笑ったりであった。
(笑)