内宮で、神様から、お聞きした話でございます。
昔、出雲を訪れた際の話でございます。
ある二軒の家があったそうです。
一軒は豪邸で、
もう一軒は、みすぼらしい家であったそうです。
出雲では、神様をお迎えのため、神在月には掃除をするそうです。
豪邸、みすぼらしい家ともに、綺麗に掃除がしてあったそうです。
そこで、次の年に神様は1日早く出雲を訪れたそうです。
そこで見たものは、
豪邸では、使用人を使い掃除をさせていました。
もう一軒のみすぼらしい家は、夫婦が掃除をしていたそうです。
さらに、次の年、
神様はもう1日早く、出雲を訪れずれました。
豪邸では、掃除もしておらず、水すら代えていない有り様。
もう一軒のみすぼらしい家は、きちんと掃除され、水も代えてありました。
また、次の年、
神様は、もう1日早くと、続けてまいりました。
しかし、みすぼらしい家は、毎日、きちんと掃除され、水も代えてありました。
神様はいたく感心され、夫婦二人に尋ねました。
願い事を叶えようと。
すると、夫婦二人は、
「子供だけが欲しいござります。あとは望みません。貧しくも、私共は満足しております。」
そう、夫婦二人は述べました。
神様は夫婦二人に子供8人を与えたそうです。
そうして、授かった子供達は、
神様を大事にし、夫婦二人を大事にし、
朝から晩まで働き、財を成したそうです。
その一方、もう一軒の豪邸からは、
「商売繁盛!お金!お金!」
との声が、いつも聞こえていました。
神様を尊ばず、自ら掃除もせず、水すら代えない有り様に神様はあきれ果て、一切願い事をきかなかったそうです。
その結果、豪邸は使用人が一人去り、また一人去りと、没落してしまったそうです。
もう一軒のみすぼらしい家は夫婦二人に加え、子供達も熱心に働き、いつの間にか、財をなしました。
しかし、おごることなく、自ら掃除をし、水を代えるなどを怠ることはなく、繁栄したそうです。
身体が動かなくなると子供達が、自らがどうしても掃除や水を代えることが出来ない日は、使用人にしっかりとお頼みし、褒美を必ず与えたそうです。
神様は尊きことと、感心したそうです。
願い事ばかりして、感謝の気持ちもなく、
お賽銭すら投げ入れる馬鹿者がいることを嘆いておられました。
人にお金を渡すのに、投げ出す者がいるのかと。
日々、気持ちを正しくもち、日々、感謝の気持ちを持ちたいものです。