あるところに、大変、貧しい夫婦がおりました。
夫婦はみすぼらしい服を着て、その日の食事にも困るありさまでした。
ただ、夫婦は誠実に生きておりました。
夫婦は、
神様に
「お金持ちになり、腹いっぱいご飯が食べれますように」
とお願をしました。
雨の日も、風の日も、夫婦は神様にひたすらお願いしました。
神様は、夫婦を可哀想に思い、
夫婦の願いを叶えて、
お金持ちにしてあげることにしました。
夫婦の畑は、飢饉でもたわわに実りました。
夫婦は有り余った作物を売りました。
夫婦の商売は、
どんどん儲かって大きなお店をもち、
沢山の人を雇うようになりました。
夫婦は、お金持ちになり、
毎日、
お腹いっぱいの食事をしました。
立派な服を着て、
何不自由のない生活を送れるようになりました。
誠実だった夫婦は、お金持ちになった後も、神様に毎日感謝しました。
ある日、
店の軒先で、
みすぼらしい服を着た女性がおりました。
そして、
みすぼらしい女性は、
夫婦に、
「食事を下さい」
とお願いしました。
夫婦は、みすぼらしい女性に、
「お前は怠け者だから、食事を食べれないのだ」と怒鳴りつけ、
「働けば良いだけだ」と怒り、
水をかけて、みすぼらしい身なりの女性を追い払いました。
また、しばらくすると、
みすぼらしい服を着た男性が、
店の軒先で、
夫婦に
「食事を下さい」とお願いしました。
夫婦は、
「お前は神様を大事にしないから、罰が当たったんだ」と、言うと、
店員を呼び、殴る蹴るなどして、
みすぼらしい身なりの男性を追い払いました。
神様は、
この夫婦に財産は持ち余るものだと思いました。
この夫婦は、お金のせいで、大切な誠実さまで失ってしました。
そして、夫婦から財産を全て奪い去りました。
夫婦は、瞬く間に、もとの貧しい生活に戻りました。
夫婦は、また、神様にお願いをしました。
しかし、
その願い事が叶うことはありませんでした。
夫婦は、
贅沢だった生活を忘れられずに、
周りの人々に、
傍若無人に振る舞い続けていたのです。
そう、
神様は、
夫婦に会いに行っておられたのです。
最初の貧しい身なりは、
妻の姿になり、
次の貧しい身なりは、
夫の姿に変わって。
夫婦は、
自分たちの貧しい姿をすっかり忘れてしまっていたのです。
喉元過ぎれば熱さを忘れる。
神様への感謝がいつの間にか、神様へ願い事を聞くように押し付けるような態度になっていたのです。
さらには、そんな傲慢な態度も、神様に感謝しているのは自分達だと勘違いしてしまっていたのです。
貧しい生活に戻し、感謝や真心を大切にするのであれば、
神様はいくらでも、
夫婦の願い事を聞いたでしょう。
しかし、夫婦は謙虚さも、忘れてしまっていました。
神様は、ため息をつき、夫婦をみておりました。