朝から雨だった。
絵奈さんと話たいなと思った。
居間にいくと、誰もいなかった。
律儀に食事とコップがテーブルにあった。
いきなり、玄関から絵奈さんが入ってくるなり、
「この子、私の子なんだ」
と言った。
僕はいきなりのことで、驚いた。
同時に興味深く絵奈さんの子供を見ていた。
男の子で、5才くらいだった。
白いTシャツに、半ズボンだった。
絵奈さんに手を引かれ、居間にきたが、下をずっと向いていた。
何もはなさなかったし、話そうともしなかった。
僕も、話かけようとは思わなかった。
話たくないのに、話させても仕方がない。
嫌なことは嫌なのだから。
男の子は、叱られた後の子供のように下をずっと向いていた。
絵奈さんは、
「昔からこうなの。気にしないで。」
と笑いながら言った。
絵奈さんも、男の子も、海の香りがした。
昼には、裕子ちゃんが多分、学校から帰ってきた。
制服を着ていたから。
この集落で制服を着てわざわざ、買い物には行かないと思う。
そして、勉強をみた。
少しずつ、裕子ちゃんが話をしてくれた。
些細なことだが。
どうやら裕子ちゃんは、稲や木で出来ていないようだ。
夜には飽きずに、宴会だった。
僕は時期を待つしかなかった。