霊視で現実世界をカウンセリングして解決いたします。
霊能・スピリチュアルだけのアドバイスだけではなく、人が日々生きている現実世界との調和が必要だと思っています。
そのため、法律資格や現実世界の学びも生かした、総合的なカウンセリングとコンサルティングをしています。

悪魔の香 1

「お婆ちゃん、またこの花植えてる。この花はケシって言って駄目なの。もってくからね。」

「そんなもの、昔からそこら辺に咲いてるじゃないかい。お巡りさんが泥棒する気かい。」
若い警官と、一人の老婆が話をしていた。
ケシの花は美しい。
美しいがゆえに、育ててしまうことがある。それが毒をもったり、違法だと気づかないで。
今でも、田舎に自生して咲いていることもある。
今のように、携帯が普及していない時代の話である。
もしかしたら、夢なのかもしれない。
仕事を終えて、アパートに帰える。
ひどく疲れているようだった。
一つの旅を終えたように、大きなリュックを背負っていた。
アパートは、築40年を越える古いアパートだが、大屋さんが中はリフォームしてあった。
見た目は、悪いが、中は清潔感のあるアパートだった。
台所と居間を兼ねた板の部屋と、もう一つ畳の部屋。
二部屋の間取りだった。
駅からは、徒歩15分。
ただ、ひどく急な坂を昇りおりしなければならなかった。
坂さえなければ、普通の住宅地だった。
昔は、海だったそうで、海の名残の名前がついていた。
広さと、家賃の安さから選んだ物件だった。
だから、男には文句はなかった。
男は、坂にも、古さにもすぐに慣れてしまうだろうことも、よく知っていた。
靴をぬいで、畳の部屋へと向かう。
留守番電話のメッセージの灯りが、真っ暗な部屋の中で唯一、点滅していた。
同じ電話番号から、複数回の記録があった。
「知らない電話番号だ」
と、一人の若い男はぽつりと呟いた。
嫌そうな雰囲気ではない。
再び、目に一つの光を甦らせていた。
「私は、山市と申します。
○○さんのご紹介で電話させてもらっています。
兄が死にそうなんです。何でも霊に取り付かれたそうで。霊を払ってもらえませんか。お話だけでも、聞かせていただけませんか。折り返しお電話ください。○○○…」
何度も悲痛な声で、伝言は入っていた。
若い女性の声だった。
男は何度も伝言を再生しながら、電話横のメモ張に電話番号を書いた。
そして、電話をかけた。
ただ、急がねばならないと思った。
身体の疲れよりも、心の方が勝った。
その男の名前は、渡部学という名前だった。
渡部は身長が170センチ程のやせ形の男だった。
そして、
これから語られる物語に、渡部は次第に引き込まれていく運命にあったのである。
まだ、渡部は、そのこと知らずにいた。
当時の渡部にとっては、若すぎたのだった。
しかし、物語は流れていくのである。